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prof  bkm  clap!

2024.4.3


三木三奈『アイスネルワイゼン』
ホラーでもサスペンスでも無いのに怖い。
親に家賃を払って貰いながらギリギリの生活をしてるピアノ講師の琴音が仕事も恋愛も友情も上手く行かずに追い詰められて行く。
実は主人公が犯人な叙述トリックのように、一見すると被害者のような琴音も実は攻撃性が高くてヤバい女なのが徐々に分かって来る。
ヤバいと言っても、あーこんな人居るなぁと思うようなリアリティのある範疇で解像度が高いと言うか。
自業自得は言い過ぎにしても他人と自分の自覚無き攻撃性が噛み合って自滅していく恐怖。

前回の芥川賞候補作は5作中4作読んだけど、テーマ性が強い作品が多い中、クリスマス近辺の数日間の特に大きな事件が起こるわけでも無い人間模様を淡々と描いてる本作は非常にシンプル。
ディストピアを予感させるifの近未来を強いテーマ性を持って描いている受賞作の『東京都同情塔』とは対照的かも。

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-エムブロ-