「ぼくはずっとここにいます。孤児院が、この場所が……好きだから」
「おはようございます。……あの、今日も1日頑張りましょう」
「こんにちは。あなたもお買い物ですか?」
「あっ、こんばんは。こんなに月が明るいと、なんだか眠るのが勿体無いですよね」
「自分のこと『ぼく』って言うの、やっぱりおかしいですか? ……うーん……昔は『わたし』って言ってたんですけど……。ただ、まあ、色々……ありまして、その……」
「良かった……ぼくはまだ笑うことも、泣くことも、痛みを感じることも出来る……。幸せです。すごく、幸せです」
「もう、あの子達はまたイタズラばかり……」
「え、そう……ですか?」
「はう!? いえ、あの、ぼく、別にそんなつもりじゃ!?」
「……い、いえ。なんでもありません……」
「白と黒ならどっちが好きか……ですか? えと、灰色……じゃ駄目ですよねごめんなさいごめんなさい!!」
「ぼく、女の子ぉー」
「誰かを好きになるっていうのは、その人と同化したいってことなのかな。その人の視点で物事を見れるようになりたいってことなのかな。
……まあ、いいや……。恋愛って、結局は絶望しか残らないもの……」
「ぼくの身体……穢れてますから……」
「あ、えと。すみません。死んでください」
「あ、それは大丈夫です。法には触れないようにしてますから。ぼくだけは」
「怖いよ、戦うの、すごく怖いよ! どうしよう確実に仕留めないと仕返しされちゃうよぉ……」
「お肉が嫌いっていうか、豚肉は食べちゃいけないって戒律で決まってまして……」
「ああ神様……! どうかみんなが幸せでありますように!」
「ぼくに勇気をください……!」
「あっ、この絵本は……。 あの、子供の頃に慧羽が好きだった絵本なんです。懐かしいなあ。ーー懐かしいなあ」
「レファルさんは、表向きはエレガントなのに内面はアグレッシブな人ですよね。……すごく、素敵だと思います」
「だーかーら、ちゃんとしなきゃダメだよ慧羽ー。ほら、髪拭いてあげるからこっちおいで」
「えと。ぼくはパルちゃんみたいに身体能力に優れているわけじゃないんだけど……」
「もう。サーディットくんはリャオくんの保護者なんだから、しっかり見てないとーーって言ってるそばからリャオくんがぁぁぁぁぁ!」
「ぼく、なんだかトニーくんには嫌われているみたいで……あはは」
「ベアタ夫人、お呼びですか?」
「また……? またいなくなるの……? パルちゃんが見請けされて、レファルさんが出て行って、サーディットくんとリャオくんもいなくなって……。やっとレファルさん帰って来てくれたのに、今度は慧羽なの……?」
「だからッ!! そうやっていつもいつも泣いて叫んで、それで周囲が混乱するんだよ!! いい加減にしなよいい加減にしてよいい加減にしろよッ、慧羽ッ!!」
「あ、はい。大丈夫ですから……」
「ごめんね……、慧羽、ごめんね……」
「レファルお兄ちゃん……」
目上、年上には敬語。タメ、年下、友達には素の喋り方をする。素の口調は女の子っぽくなく、かといって男の子っぽいわけでもなく。
曖昧な表現を好み、言葉を濁すことが多い。
基本的におとなしい性格なので、声を荒げることはまずない。ただし内面に溜め込んでいる分、一旦爆発するとしばらく収まらない。