少女が目を開けた途端、周囲の空気に花が咲いたようだった。気のせいかもしれない。あるいは少女の能力で本当に咲いたのかもしれない。ケトルには判断が出来なかったが、それで良いような気がした。
「体調は平気?」
少女が軽く首肯する。
「ええと……。じゃあ頼み事しても、いい?」
「はい!」
即答だ。
嬉しそうだった。
そういえば彼女の笑う顔を見たのは初めてだと思った。
「なんだかようやく笑ってくれるようになった気が……」
「え?」
「いや、なんでもない」
こんな会話をしている場合ではないのだ。ケトルは本題に入る。
「この遺跡を元の状態にしたいんだ。詳しいことはあそこにいるテロルが知っている」