戻れないよな
どうも、椎名です。
いろいろありました。
バカみたいなことして、
バカみたいに泣いて、
バカみたいな答えを出しました。
以下不快に思う方もいるかと思います。
ごめんなさい。
バレンタインの夜に抱きしめられて眠りについて、
幸せと安心はここにあると感じた。
ホワイトデーの夜にキスをされて、
戸惑いと不安を感じた。
何故何も言ってくれないの
どういう意味のキスなの
でも言えませんでした。
私は無理強いされたわけでもなく自分の意思でTくんの家に上がったので。
酔っていたからなの?そういう目的なの?結局あなたもそういう人なの?
5年も友達をやってきて、そうではないと信じたい半面、
あの日のことをなかったように接してくるTくんを信じられなくて。
バカなわたしはなかったことにして今まで通り友達をやることにしました。
学校でぽろっとつぶやいた「こってこてのラーメン食べたい」を聴いていたようで
その日の夜にラーメン食べに連れて行ってくれたり、
先輩絡みでトラブルに巻き込まれていたTくんを電話で励ましたり、
いつも通りだ、これでいいんだと唱えて、幸せだって思っていました。
先週の水曜に電話で冗談めいて、「椎名は都合のいい女でしょ」といった。
ここで何かが変わってしまったのかもしれません。
この間の土曜はとても天気が良くて、
「ドライブにでも連れていってよ〜」と冗談でいったら
本当に連れて行ってくれました。
ちょっと遠出しようと言って車で1時間弱の植物園に。
晴れていて、穏やかで、
ゆっくり歩いて他愛もないことで笑って
純粋に楽しめました。デートでした。
疲れたねってカフェで休憩して、夕飯食べて
Tくんがカラオケに行きたいと言ったので少し行って、
寝不足だと、あくびを繰り返すので
運転させるの申し訳なくなって、「帰ろうか」ってTくん家に。
Tくん家に荷物を置いてあった椎名はそれを取ってすぐに帰るつもりだったけど
11時を回っていて「一人で帰すわけにはいかない、送っていく」と言われました。
でも一度車を駐車してしまったし、Tくんが眠そうなので申し訳なくて「大丈夫、帰れる」と。
Tくんは困った顔で「俺に送らせるか、家で一杯付き合うかどっちかにして」と。
私は家に上がりました。好きだったのです。Tくんとの時間は楽しくて安心できて、本当はもっと一緒にいたかったのです。
酔った私は日中はしゃいだこともあって眠いモード。
むにゃむにゃ言う私を抱きしめて撫でて、お姫様だっこでベッドへ。
ああ、バカだなあ。
でもそれでもいいと思ってしまった。たとえそういう目的で、それだけの都合のいい女でも、Tくんといれるならいいと思ってしまった。
朝まで抱きしめあってたくさんキスして夢中になった。
お昼までベッドでごろごろして、帰るねって笑って、家をでた。
何も聞きませんでした。
その日の夜、電話がきて。
「俺、バカだ。水曜に椎名に都合のいい女って言われて、否定したかったのに、また同じこと繰り返してる。バカだ。一番大事にしたいもの、傷つけてる。」
そこまで言われたら涙が出てきて、
「なんで?なんでこんなことになっちゃったの?」ってやっと聞けた。
「ごめん。」
「ごめんってなんだよ、ばか」
「うん、そうだね。俺、本当にバカだ」
長い長い沈黙が続いて息が苦しくて。
「あいたい」
「…うん」
ガチャガチャと電話の向こうから聞こえて、
「なんで、バカじゃないの」
「うん、俺バカだから、これくらいしかできなくて」
「なんで、わがまま聞いたりするの」
「バカだから……」
「バカだね、でもそのバカを待ってる私が一番バカかな」
私も外に出て夜風に当たった。
息が上がって髪の乱れたTくん。
「なんで来たりしたの」
「なんでかな」
「これ以上は後戻りできなくなっちゃうよ」
「そうだね。でも…」
「でも、なに?」
「うん。ごめん。このままじゃいけないと思って。」
「なんで。なんで手出したりしたの。友達で、よかったじゃん。」
「うん。バカだね。大事にしたかったのに、傷つけて。なんで、俺、バカだ」
「もう手遅れだよ、私もう戻れない、都合のいい女でもよかったよ」
「椎名は全然わかってないね、俺の気持ち」
「わかんないよ、わかるわけない」
「そうだね。本当に好きじゃなかったらあんなこと、しない。絶対に。」
「…」
「でもこうやって傷なめあって依存して、いつかもっと椎名を傷つける。お互い傷つけて破綻する」
「…もういいよ。」
「ごめん」
「……」
「椎名」
「……」
「…椎名」
「もういい。すごい困った顔してる。椎名は困らせたかったわけじゃないんだよ」
「俺だってそうだよ」
「帰ってよ」
「…椎名が部屋に入るの見たら帰る」
「嘘。帰らないでよ」
「……風邪、引くよ。部屋、入って」
「…もう、わがままもいうのやめるから」
「…うん」
「……好きになってごめん」
「…っごめん」
Tくんは困った顔をした後、後悔したような我慢したような顔をして顔をそらした。
少しだけ嗚咽が聞こえた。
私もバカみたいに泣いてて、それ以上は耐えられなくて
部屋に飛び込んで鍵をした。
お互い、「好きになってごめん」って泣いていた。
なんでこうなっちゃうんだろう。
お互い「好き」なのに、それじゃだめなのかな。
長い夜のこと。
もっともっと長く一緒にいたし
黙っていることのほうが多かったけど
二人で話したことはもっとある。
Tくんは一途で、頑固。そんなの私が一番知ってたのにね。
ねえ、泣いてるよこころが。今が一番傷ついてるよ、ばーか。
アイランド/レミオロメン