※真面目にふざけているパラレルです
※実年齢無視の高校生化
※ネタバレ1:ラッセルが原因不明の呪いもとい変身するための動力源により♀化してます。今回はセーラー服を着用
※ネタバレ2:スウハが猫耳+猫尻尾姿になります
※ネタバレ3:ラッセルがマジ切れ号泣
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「……どういうことだ?」
ラッセルは頬に冷汗を伝わせながらタカツキを見下ろす。
「ほぅ……おかしいとは思わなかったか?」
「タカツキ!」
スィーヅは鋭い声音でタカツキの名を呼び、それ以上の言及を避けるように沈黙で圧力をかける。
そんなスィーヅの様子からやはり何か隠していると察し、ラッセルは悔しそう顔を歪め、タカツキとスィーヅに向かって叫んでいた。
「おかしいって……言われても、色んなことがおかしすぎて何が何だかわからないんだ!」
感情の高ぶりから瞳が潤む。
「『ジュエル』が宿ってこんなことになってしまったのも、狙われるのも、守られるのも、よくわからないままでっ! 不安で不安で仕方ないんだっ!」
ぽろぽろと涙を流し、ラッセルは顔を手で覆う。
「ユイルにぃさんだけが心の支えだったのに……っひく……わたしのせいで……ひどい目にあって……ぐすっ……ぜんぶ……ぜんぶっ、お前達のせいだ!」
しゃくりあげながら言葉を吐き出し、ラッセルはばっと顔を上げて二人に向かって怒鳴っていた。
その感情に呼応するように眩い光が彼女を包み込む。
「やはり……これは……」
タカツキは目を凝らすようにその光を見つめる。
「ラッセル、落ち着け!」
スィーヅは思わず叫んでいた。
そして、クッションの上でぐったりと横になっていた子猫の耳がぴくりと動く。
そのままふらっと起き上がり、眩い光を放つラッセルに向かってぴょいっと飛び込んだ。
「……ラッセル様、泣かないで……」
幼い声が聞こえて、ラッセルははっと我に帰り、座り込む。
「スウハ……っ」
そっと小さな手が頬に触れ、ラッセルの涙を拭う。
そこには金の瞳を細めて今にも泣きそうな顔をした少年の姿をした天使がいた。
「僕……頑張りますからっ……ユイル様みたいにはできなくても……ラッセル様をお守りできるように……っ」
ひくっとしゃくりあげながらスウハはぽろぽろと泣いてラッセルにしがみつく。
「スウハ……ひくっ」
「ラッセル様……泣かないでください……っひく、独りで泣かないで……僕も一緒に泣きますから……ぇぐっ」
お互いにお互いを抱き締めて、二人は幼子のように泣きじゃくっていた。
その様子を見ながら、スィーヅは困ったように嘆息する。
同時にタカツキはそんな二人の様子に苦笑を浮かべ、チラッとスィーヅを上目遣いに見上げた。
「……お前が知っていることを話せるところまで話してやってはどうだ?」
その眼差しを受け、スィーヅは目を伏せる。
「私が話したら貴様はユイルの居場所を吐くのか?」
「……それは言えないな」
それに、と言葉を続け、タカツキはスィーヅを見つめる。
「お前が話さなければ、俺が話す。ある程度なら予想は付いているからな」
「なんだと……」
二人の天使のやりとりにラッセルは泣きはらした瞳を向ける。
そして、スウハは涙目のままはっとした表情でスィーヅと良く似たデザインの黒衣を纏ったタカツキを見た。
「タカツキ様っ、そのお姿は!」
「スウハ……様付けなど不要だ。もう、俺は熾天使ではない。それに今は……反逆者として捕らえられた罪人だ」
静かな瞳で幼い天使を見据え、タカツキは表情を和らげる。
ラッセルはそんな彼の様子に不安を覚え、スウハをぎゅっと抱き締めていた。
「俺の話を信じるか信じないかはお前次第ではあるが……お前の『ジュエル』は天界を統べる神が授けたものだ」
「天界を統べる神……そういえば、さっきも……」
「っ……タカツキ、憶測でラッセルを混乱させるような真似は……」
「そこまで言うのならば訊こうか。何故、スィーヅ……お前程の熾天使が小娘一人のためにわざわざ護衛として姿を現したのかを」
「っ!」
色の異なる双眸をすっと細め、タカツキはややキツい口調でスィーヅに言葉を投げかける。
スィーヅは目を見開き、ギリッと歯噛みした。
「こ……小娘……って、おい!」
小娘扱いにラッセルは抗議しようと口を開く。
「本来の神が眠りについた天界の状況を察するにお前がそんなに暇だとは思えない」
「……えっ?」
ラッセルの抗議をスルーし、タカツキが続けた言葉にスウハは目を丸くする。
そして、スィーヅも目を見開き、タカツキを見ていた。
「何故、異界にいたお前が知っている……」
驚きの余りぽつりと洩れた言葉にタカツキは不適な笑みを浮かべる。
「俺とて運だけで熾天使に就いていたわけではない」
そのまま、スィーヅを挑発的な目で見上げる。
「俺の推測が正しければ、ラッセルが何故『ジュエル』を宿し小僧から小娘になってしまったのかも、シュガイアに『ジュエル』を奪われる寸前に何故お前が護衛としてタイミング良く現れたのかも、説明がつく。スィーヅ、やはりお前達天界の者達の方が俺達よりも性(たち)が悪い」
「……くっ」
「まっ、待ってくれ! 全然話についていけないんだが!」
ラッセルが二人の話に割って入ったとき、スィーヅは諦めたように嘆息した。
「……タカツキに促されたようで癪ではあるが、わかった……話そう」
そう呟き、ラッセルとスウハを見下ろす。
「私がここにいるのは、私が仕える女神(かみ)の力(ジュエル)を護るためだ」
-3-へ続く。