100分de名著
本当は、紹介しているテキストも欲しかったですが長い訳でもないから原作から入りました。
敗北が決定的となったフィリピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡され本隊を追放された田村一等兵。野火の広がる原野をさ迷う田村は極度の上に襲われていく…。
読みながら、頭に浮かぶ絵は、降りかかるように精神を保つか細い糸をちぎっていく戦場の現実とトラウマになりそうな屍肉の臭い。
そして、土で汚れた血みどろの何かが南国の緑に紛れ入り目の前を真っ暗にさせます。
一頁一頁がそら恐ろしく重たかったです。
もし、これが現実だったならばかつて「兵士」だった人達は口を閉ざすのも窺える気がします。
この小説には、英雄はいません。敵も味方も現地の人も「平凡な人間」です。
命令を下しているのは少数で、散り散りの蟻のようになっていく彼らを進ませるのは米粒にも満たない小さな小さな希望です。
それ以外は、背徳、恐怖、狂気に満ちていて戦争の愚かさに崩れていきそうになります。
映画化もされているらしいですが…どうやって映像化したんだろう?
言葉見つからず、迫真の描写を前にただただ沈黙するしかない一冊でした。
戦争体験者が少なくなる中での貴重な一冊でした。
8月5日
ふくふくプラザ内のホールにて無事に朗読劇「広島県女二年西組」を終えることが出来ました。
拙い私を支えて下さった劇団の方々、チラシやアドバイスをしてくれた友人、チラシ配布協力させて下さった皆様、見に来て下さった方々。
本当にありがとうございました。
朗読の難しさ(発声からですが)、舞台のライトが当たる瞬間の緊張感(ドキドキ)を、楽しむことが出来ました。
舞台では本当に震えていました/汗
また、幅広い年齢層との稽古は学ぶことが多く喜びを感じました。
そして、私の中で8月5日が変わりました。
子どもの頃。8月5、6日は夏休みの出校日で平和学習する日で流されていました。
また、学校の怪談シリーズの全盛期だったからどことなく夏休みに学校に行くのは嫌でした。
それが、今思えば浅はかだったと思いました。
72年前のあの日。
一筋の閃光が、熱風や炎が、黒い雨が全てをなぎ倒して食らいつくした事を細かく知り、また言葉を出していくうちに、これが現実にあったことなのか…この事実を忘れさせてはいけない…と、強く思いました。
共演者の中には戦争体験者もいます。その方からも話を聞き、更に想いは胸中に深く深く染み込んでいきました。
台本には、いくつもの平和について問いかける言葉が。生き残った方の肉声があります。
これは、是非次の機会に。または、原作で知って頂けたら、何より幸いです。
大変、充実した二ヶ月弱の稽古期間、舞台でした。
最後になりましたが、戦争被害者方々の冥福を祈って。
合掌