わかっているのです…それぞれのエピソード詰め込み過ぎだって。
リオガロ中心なら、もうちょいサラリと流さないとボヤけてしまうって。
でも、まぁ、これはリハビリでありダラダラ書いていいと割り切って、書いていきたいと思いました。ゴメンなさい。
「えーーー!!?」
ガロの腰が、またしても浮いた。
自分と何もかもが違う。自他共に認める火消し馬鹿の俺には、そんな大任は負えそうにもない。
それが、ありありと顔に出ていたのだろうガロに、女性二人はコロコロ大笑いをする。
「あのレディよりあたしの方が、あんたの世界に近いんだろうよ! でもね、実は、この店(マヨイガ)に至るガロには、幾つか法則があるのさ」
横から、もう一人のガロ女史が、コーヒーおかわり! あと、この若々しいガロにもオリジナルブレンドを出してよ! と、ガロがメニューを開く間もなく注文を通してしまった。
多少強引で豪快なところが、確かに自分にやや近いような気がして、ガロは苦笑いする。
「法則……って、何だよ?」
ようやく数多の疑問と戸惑いに答えてくれる流れになってくれたことに、ガロは片眼をしかめ溜め息を零しつつやや投げやりに椅子へどっかりと座り直す。そんな青年にガロ女史は、面白そうにしながらも計るように節くれたった人差し指を一本立てて、真実を告げた。
「この場に至るガロは、誰かを愛することを知っている――」
ガロの大きく開かれた瞳が、光を得て蒼天のように透き通る。
やがて、言葉も無く項垂れた青年に艶やかな女性は何かを察すると、そっと、彼の肩に手を置いて言った。
「私はね。この通り、筋肉もつかなかったし、レスキューとしての適正もなかったの……貴方たちと違って」
柔らかく、現場に立ったこともなかったかのように華奢な、傷も染みも皮の厚みもない自らの手指と違い、膝の上で握られた青年の大きく厚く固そうな――沢山の人を救ったのだろう手を、羨望の眼差しで見つめながら、続ける。
「私のレスキューとしての一世一大の大仕事は、リオと世界を燃やして消したこと。そして、約束したの」
リオの名前に、痛んだ胸が身体を弾かせる。わかりやすい青年ガロに、しかし、殊更に触れることをせずレディは微笑み、人生を賭けた誇りを告げた。
「炎上したら、消してやる。お前らに飛んでくる火の粉も、全部。と……」
その時の私は、ちょっとはねっ返りで口が悪くてね……と、澄まして言うレディに、瞬時、店中のガロが息を飲み、そして、気が抜けたような笑いの漣が起こる。
やはり彼女も、生きる世界は違えど自分なのだと。
「リオをはじめとする元バーニッシュ達の人権擁護、融和、補償……このまま、うだつの上がらないレスキューをしていても、リオの助けにはならない。だから、政治の道へ踏み込んだ」
まずは、いささか荒い言葉を改めるところから。
「右も左もわからない私を、疎遠にしていた実家との誼を繋いでまで導いてくれたのは、今の夫なの」
プロメポリスの誰よりも重く大きなものを掴み担う、華奢な白い手を胸に、海よりも輝く青の中の太陽よりも深い赤を燃え上がらせて、笑み、口上した。
「私の名は、ガブリエロ・ティモス・エクス――全ては、イグニスのおかげ」
伝家の宝飾品に刻まれる印、それは、エクス家のもの。
既視感を覚える筈だ。その紋章はバーニングレスキューの隊長の肩にある紋と類似している。それは、エクス家を去り死と隣り合わせのレスキューに生きる事を決めた際の、覚悟と誇りの印だったのだろう。
-続く-
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