住み慣れた其処には何も無く、
どうやら、生温く何時冷めるのかも予想出来ぬ、
短くも充実した”幸福”に、感覚が麻痺してしまったようだ。
幸せとは何とも恐ろしく、
確実に多く見舞われるであろう、”不運”よりも、
その力は絶大で、
一度味を占めれば、更なる甘美な幸福感を得たい衝動に駆られてしまう。
愛しき人。
穏やかな生活。
優しい貴方。
微笑む私。
押し寄せる、不安。
余りにも自然に貴方と周囲に溶け込んで、
逆に其れが私を臆病にさせていく。
幸せは本当に脆く、壊れて消滅し易く、
其れを感覚で知っている私には、
猛烈な恐怖と、時の流れへの憎悪が膨れ上がり、
悶々とした感情が襲い掛かって来る。
尽きない笑い声。
溢れる微笑み。
引きつる口元。
零れる、泪。
理性も、感情も、感覚も、総て。
不要な程この身に漲って、
私という一人の人間を形成していくのだ。
2007-5-19 17:27
浅薄な自意識の、
張り巡らされた神経に掛かる、干渉。
小さな戯れ言に揺るがされ、
大きな激情に冒されて、
失われ逝く、
危う気に保たれた、
精神の脆弱さを加速させていくばかり。
自分が自分で無くなる日は、きっとそう遠くはないだろう。
潔く、消滅してしまえば、
美しい思い出のまま、
其処に息付いていられるというのに。
2007-5-5 23:11