六月二十四日は、全世界的に、UFOの日だ!







お久しぶりです。

ここ一週間ほど、色々バタバタしてました。

新しいバイト始めたり、バンドのベースから借りた『イリヤの空、UFOの夏』読んでたり…。





つーわけで、本日6月24日は全世界的にUFOの日。

こんな日に、ちょうど『イリヤの空、UFOの夏』の記事を書けるのはちょっと奇跡的なものを感じますねw

はい、やっと読み終わったんで、ぼちぼち感想とか書いてみようかな、と。




さて、『イリヤの空、UFOの夏』とは秋山瑞人著のライトノベルであります。

今から10年くらい前に出版された作品なんですが、今でも根強い人気がある名作と言われてますね。

Twitterで『おっくれってる』って検索してもらえば、その勢いを実感してもらえると思いますw(記事タイトルにも使った『おっくれってるぅーーーーー!!』とは、作中の登場人物が発するセリフ。夏の始まりと終わりを象徴する一言です)

作品の内容としては、平凡な男子中学生である浅羽と不思議な少女、伊里野の出会いによって巻き起こる一夏の出来事、とでも表現しましょうかね?ボーイ・ミーツ・ガールの傑作であります。

事前にOVA版を見てしまったんですがね、バンドのベースから『あんなもん見るくらいなら原作を見なさい!』と言われたので読んでみた次第でありますw






さて、ここからはちょっとネタバレしちゃうかもしれないので、読んでみたいって人は閲覧注意で。







まずこの作品を読了して感じたのは、心地よい空虚感。とっても切なくて心が空っぽになってしまうんですが、それでいて満たされているような、不思議な読後感でした。

夏の終わりと伊里野との別れ。それが清々しさと寂しさ、切なさが同居した文章で描かれるラストは、素晴らしいの一言ですね。

端から見れば悲劇なのに、それの一方でハッピーエンドを感じさせる表現。それでいて、ただのハッピーエンドではなく切なさが溢れている。

なんと表現の上手い作家なのだろう、そう思いました。




作品全体の感想としては、『ライトノベルの枠を越えている』。この一言に尽きるのではないでしょうか。

もちろんライトノベルである以上はライトノベル的な場面もあったり(特に前半)するのですが、それでいて文章力は超ライトノベル級。そして物語が後半になるに従ってヘヴィになってゆき、所謂『セカイ系』としての骨組みは残しながらも本格SFの様相を呈してきて、そして感動のラスト。

本当に文章の上手さやセンスが随所に潜んでいて、ライトノベルという枠で区切ってしまうのが勿体無いくらい。今から10年も前からこんな作家さんがいたのだから、ライトノベルも捨てたものではありませんね。

で、その文章の上手さを最も感じたのは、3巻の虫を取り出すシーンでしょうか。読んでるこっちも痛くなってしまうような、それでいて読む手を緩められないスピード感のある、そんな圧巻のシーンでした。




そして、上手い具合に色々と曖昧にしていた点も特徴的でした。

例えば全編に渡って言葉に対して、必要以上の説明がない。特に、随所に出てくる軍事用語(主に航空関係)などはほぼ一切説明なし。

それのお陰で何も知らない浅羽少年への感情移入が加速しますし、加えてもしどこかで説明セリフが入ると『なるほどな!』と、すごくスッキリするw

その専門用語の暈しは浅羽への感情移入以外にも、作品全体の雰囲気作りにも役立っていたとも思います(もっとも、僕はそーゆー用語に詳しかったんで終始ニヤニヤでしたが…)


そして浅羽への感情移入という点でもっとも印象的だった『曖昧』シーンが、伊里野が襲われた(?)シーン。『された』とも『されてない』とも取れるような仕掛けが随所に散乱しており、これが秀逸。

とある考察サイトさんでは、『好きな女の子が浮浪者にレイプされたかもしれない。あなたならどう接する?』みたいな説明がされていて、まさしく浅羽の視点になれるんです。読者もどっちかわからないし、浅羽だって犯人が去った後の様子しかしらないからどちらか分からない。(ちなみに、読者側は伊里野がナイフで刺そうとするシーンを見ているので多少『されてない』側に傾くのが唯一の救いでしょうか)


あとは、結局最終決戦の詳しい結末だとか伊里野の生死(まあ亡くなってるんでしょうけど…)だとかが一切説明されない辺りなんかも、読後の切なさを作る大きな要因になってたな、と。

とにかく『ぼかし』方が上手かったなーと思いました。ぼかしても話を理解する上でなんら問題が無い辺りもすごい。



でもやっぱ、何だかんだで読後のモヤモヤはしょうがないですよね(^^;

『伊里野に、一秒でも永く生きてほしかった』なんて思いながらアフターものの二次創作SSを探して読んじゃうのも仕方ないwww







と、言うわけで。

ライトノベル界に燦然と輝くイリヤの空、UFOの夏でした。

浅羽の夏が始まった6月24日近くで今作に興味を持てた偶然(確かまとめサイトで読んだSSがきっかけだった気がする)と、6月24日に間に合うようなタイミングで貸してくれたベースのゆうと君。

本当にありがとう。

今後は、秋山先生の他の作品も読んでみたいなー、なんて思いました。

オレもあんな文章書けたらなぁ…。





それでは最後にもう一度。




おっくれってるぅーーーーー!!




ノシ