今日、大問題の事件の事で、従業員が会社に来た。持ち物の没収と事務所の鍵と個人情報の回収とパソコンの情報削除と携帯や名刺や領収書の回収。今後の賠償責任の話し合いだ。

先ずは仕事の引き継ぎとクレーム処理、不備書類の引き継ぎ、賠償責任の話し合いをした。

会社の今後の追うリスクをリストにして、いくら位の損害かを数字に表してみたら、なんと軽く240万強のマイナスになりそうな状況だ。会社の信用はまた別問題。これに対しての損害賠償をする事になる。

だけど、かなり従業員に情があるから損害賠償を裁判沙汰にするなんて、とても出来そうにない。最初の入社時に比べて最近の行動も変わり、凄い良くなってたし、やるべき事もかなり頑張ってた。あいかも俺も甘いのかもしれない。または、今からのあいかも俺も大変な試練の現実をわかってないのかも知れない。でも現実問題、裁判沙汰になんて出来ない。凄い情がある。まだ情が残ってしまってる。その方は、家庭もあり、子供も2人いる。せめて憎めたら楽なのに。

悩みに悩んでしまい答えが全く出ない。考えれば、考える程、何故そんな馬鹿な事したのか? と堂々めぐりに陥る。たった4万円の横領。それも本人は、うっかり忘れたようだ。悪気もない様子に思える。金額は関係なく、その行動は忘れたでは済まされない。9月に2万円、10月に1万円、11月に1万円。連続して続いてた。だから余計にまずい。せめて1回なら? でも駄目だけど。で、お客様が、お客様センターに連絡したから、事実は消せない。腹がたつ位残念で仕方ない。また堂々めぐりを繰り返し思い、どうしたらいいのか?全く前に話が進まない。

そんな中で、現実に、お互いに出来得る方法は無いのか考えに考えた。苦肉の策が、今月と来月の給与カット。で退職。その代わり損害賠償は、会社からはしない。と提案した。これが、俺達に出来る精一杯のケジメだ。

その方には、かなりの負担になる。60万弱近くのマイナスだ。即座に家計に響き支払いが出来ない状態になる。

俺達は、240万マイナスとすれば、その方は、4分の1のマイナスで済む。

お互い大変だ。現在その方の奥様と子供達は実家に帰ったらしい。事情は奥様に話したようだ。

益々、こちらもめげる。

今まで過去に社員を雇ったが、今回だけは特別に辛い。だって一緒に苦労重ねたのに。こんな結果は寂し過ぎる。

でもこれが、1番軽くしてあげれる限界なんだよね。本人はどう思っているかわからないけど、これから俺達は、その事件のお陰で240万−60万で、180万の借金を負う。かなりダメージは大きい。

25年に本社事務所を構える夢も危ない。銀行もかなり本社事務所設立には、乗る気だったが、どうなるかわからない。

今後経営方法を間違えて行動したら、会社の存続が、出来ない危険もかなりある。倒産もあり得る。

メーカーからの会社に入る手数料も当分、半分にカットされる。

この状態で、乗り越えられるのかも心配だ。

また堂々めぐりだけど、何故?と堂々めぐりをしてしまう。来年の6月にはその従業員は、給与が増え、35万手取りの給与があるのに。ボーナスも出したのに。かなりの出世コースだったのに。責任者だったのに。

本人は、給与カットで納得したらしい。だけど、お節介な俺は、大丈夫なのか? と聞いてしまう。
大丈夫な訳ないし。聞くなら、解決策何とかしろだよね。

そんな事気にしたら、何も出来ない。本当に淡々とした、話合いにしなきゃいけないと思い、淡々と話した。かなり辛い。

で話は終わった。最後にあいかは、従業員に今後は、しっかりやらなきゃ駄目だよと言いながら、泣き出してしまう始末だ。けど、気持ちはわかる。凄い可愛がってたし、力入れていた。人は必ず変われると信じてたらしい。で、本当に変わって来た矢先だった。あいかの涙が、また雰囲気を重く現実に。また今からお互いの大変さをわからせてくれた。

俺も胸が一杯になった。本当に残念だ。もし、もし、少しでもお金があれば、個人的に生活費を貸したい。たとえ返ってこなくてもいいと思った。

だけど、そんな事したら彼はもしかすると、また同じ誤ちを犯すかもしれない。今は苦労するべきだ。だから貸したら彼が駄目になる。まぁ貸すお金なかったけど。

最後に彼は頭を下げて申し訳ありませんと言った。俺達も最後まで、面倒見れなくて悪かったと誤った。

時計は夜中2時過ぎていた。試練? こんな試練は嫌だ。事務所が、嫌な場所に思えた。彼はもう事務所には来ないかもしれない。いやもう来ないだろう。

彼は今からどうするんだろう? 俺達はまだステージあるから努力したらいいけど、彼はこれからどうするんだろう?とあいかに言うと、私達は今からかなり大変になるんだよ。わかってるの?と言われた。もしかしたら乗り越えられないかもよ。と。

大丈夫。何とかしてみせる。絶対大丈夫。また根拠無いいつもの自信で、大丈夫だよ。と空威張りした。

雨が降らない人生は無い。雨が降ったら傘をさせばいい。

いつか全てが懐かしい。